感音性難聴と周波数低下技術について





          音は空気振動で 鼓膜に伝わり  鼓膜の振動が耳小骨を通じて 蝸牛の入り口の前庭窓を振動させます。
          蝸牛の中にはリンパ液が満たされており 基底板というものがあり有毛細胞が生えています。
          前庭窓の振動で 蝸牛管内のリンパ液が振動すると 有毛細胞も振動し それが聴神経につたわります。



蝸牛内の有毛細胞は 位置によって 感じる周波数が決まっています。
前庭窓に近い 有毛細胞は高い周波数に反応し 蝸牛の奥にいくほど 低い周波数に反応します。
高い音を感知する有毛細胞は 細胞の長さが長く 耳小骨からの振動を近くで感知するので 振動が大きくなります。
低い音を感知する有毛細胞は 細胞の長さが短く 耳小骨からの振動を遠くで感知するので 振動が小さくなります。







感音性難聴の原因の一つが 加齢や 騒音が原因で  有毛細胞が傷つき 脱落することです。
高い音を感知する有毛細胞の方が 細胞が長く 振動が大きいので 物理的負担が大きく 脱落しやすいようです。
有毛細胞が 減少するとき 蝸牛の手前に位置する 高い周波数を感知する有毛細胞から減っていき
奥の 低い周波数を感知する有毛細胞の方が減少しにくいです。
有毛細胞は 一度脱落すると生え替わりません。
そのため  加齢や騒音にによる聴力の低下では 高音が中低音より低下することが多いです。







聴力の低下は 30代から すでに始まっていると 言われていますが 高音から聴力が低下します。
感音性難聴の原因は 加齢の他に 有毛細胞を傷つける 騒音が原因になります。
鉄工所やトンネル工事等の騒音の他に ロックミュージシャンも感音性難聴の方が 多いようです。
最近では スマホや iPODの音楽を イヤホンで大音量で長時間 聞く若者が多いですが 気をつけた方が良さそうですね。




感音性難聴のもう一つの原因 隠された難聴についてはコチラから  







難聴には どの高さの音が聞こえにくいかで いくつかの聴力型があります。



加齢や騒音による感音性難聴では 有毛細胞の減少の具合で 
低音も聴力低下するけれど 高音にいくほど徐々に低下している 高音漸傾型や 
4000Hzあたりから一気に低下している 高音急墜型が あります。



周波数低下技術について
   高音急墜型の場合 2000Hzくらいまではゆるやかな低下で 4000Hzくらいから急激な聴力低下があります。 
   4000Hz付近が聞こえないと 子音の聞き取りがかなり難しくなります。
    その場合 4000Hzで補聴器からそれなりに大きい音を出す訳ですが いくら大きい音を出しても
   4000Hz付近の音を感じる有毛細胞が 減っているわけですから 聞き取りが今ひとつだったりします。
   そこで、最近の補聴器の新しい機能として 4000Hz付近の子音の音を まだ聴力が残っている
   2000Hz付近に 持ってきて言葉の理解を助けるというものがあります。

メーカーによって 方法がいろいろあります。
そのひとつが 高い周波数の音を圧縮して
聞こえる音域で 音を出す方法です。
シグニア補聴器がこの方法です。
スターキーは 聞こえない音域の音の成分を
取り出して 聞こえる音域にコピーする
ことで 言葉の理解を助けます。
(スペクトルiQ)
  メーカーによって 周波数の低下(圧縮、変換)の方法は いくつかあるようですが
私は シーメンス補聴器の周波数圧縮と スターキーのスペクトルiQは実際に聞いてみて 特に違和感は感じませんでした。
 高音急墜型で 補聴器を装用しても 言葉の内容がわかりにくい方には 有効だと思います。






     
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